武満徹の名作『系図(Family Tree)』を紹介する。家族を主題にし、「子供のための音楽」として作曲された武満の代表作といえる。谷川俊太郎のテキストを用いた少女の朗読とオーケストラによって演奏されるこの曲、武満作品の持つ郷愁(ノスタルジー)を調性的な響きで表現しており、少女が抱く家族の姿をとても単純(シンプル)に表現している。

武満曰く「詩のこころを生かすことに専一して、専門的なこだわりなど捨てて作曲しました。」との事。

まさに、武満が感じたままの響きを感じられる家族の風景である。武満徹を知るにはノヴェンバー・ステップスと並んで最適の音楽といえる。これこそ、「タケミツ・サウンドだ!」と声高に主張したい自分である。

【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床
小澤征爾/御喜美江(Acco)/遠野凪子(朗読)/サイトウ・キネン・オーケストラ[1995年9月録音]
【PHILIPS:PHCP-1493】