日本のオーケストラのパイオニア的な存在である近衛秀麿の残した雅楽の名作、越天楽のオーケストラ編曲版を紹介する。
龍笛をフルート、篳篥をオーボエ、笙はヴァイオリンで表現し、日本古来の雅楽の世界を西洋楽器でナチュラルに表現することに成功している。ベートーヴェンの交響曲や、ムソルグスキーの『展覧会の絵』などの編曲も手がけていた近衛だが、この雅楽の編曲ほど勝れたものはないといえ、ストコフスキーも暫し取り上げ録音もしていることでも知られる。原曲と聞き比べると、尚の事、近衛の編曲が如何に優れているかが理解できる。
不当に評価が低い近衛秀麿だが、もっと評価をされてもいい気がする自分である。
【Naxos:8.555071J(輸)】
宮内庁楽部[1989年6月録音]
【キングレコード:KICH 2001】