ペッテション=ベリエル(1867~1942)はスウェーデンで活躍した作曲家であり、辛口な音楽評論家、ワグネリアンとしても有名である。ただ、他のスウェーデンを代表する作曲家に比べると極端に知名度では劣る。そんな彼が残した作品の中でも、際立って美しい作品を紹介する。


ピアノのための組曲『フレースエーの花々』である。フレースエーとはスウェーデンの山岳地帯にある湖に浮かぶ島のことであり、作曲家自身、その島に別荘を構え、その島の美しさに魅了されていた一人といえる。そんなフレースエー島に咲く花々からインスピレーションを得て書かれた作品がこの組曲である。作風は表情豊かな耳に馴染みやすい旋律が印象的だ。北欧の作曲家が持つ、独特のモノクローム的な和声も印象的であり、全21曲は飽きることなく聴ける。この様な秘曲を弾いた時の小川典子には常に頭が下がる。曲の魅力を余すことなく最大限に表現している。作曲家が感じた島の美しさをそのままに、花々の美しさも見事に花開いた一枚といえるだろう。


【推奨盤】
乾日出雄とクラシック音楽の臥床
小川典子(Pf)[1998年2月録音]

【BIS:CD-925(輸)】