オーストリアの作曲家、ヨハン・ネーポムク・フンメル(1778~1837)の作品の多くはピアノ曲ではあるものの、オーケストラや室内楽においても作品を残している。ハイドンに作曲を、モーツァルトにはピアノを学んでいたフンメルらしい、優雅でありロマンティックな作風が印象的である。また、他の作曲家の主題を作品の中に引用しているのもフンメルの特徴ともいえる。
ここで紹介する『グランド・セレナーデ』もまた、実に面白い作品だ。ピアノ、ヴァイオリン、ギター、クラリネット、ファゴットといった一風変わった編成で書かれたこの作品は、およそ20分にも及ぶ大作である。曲の随所には、モーツァルトのオペラからの主題の引用があったりと、楽しく聞くことができる作品だ。

【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床
Consortium Classicum[2004年11月録音]
【MDG:301 1344-2(輸)】