サン=サーンスの交響曲といえば第3番の『オルガン付き』があまりにも有名すぎて他の作品の存在は全くと言っていいほどに話題にものぼらない。しかし、彼は全部で5曲もの交響曲を残している。今日ここで紹介する第2番の交響曲だが、全体で20分強という、コンパクトな交響曲となっている。内容はというと、パーツだけで語るとなると、第1楽章はヴァイオリンのソロに始まり、木管楽器の各ソロが特徴的で今後の展開に期待を孕ませるイントロといえる。第4楽章は常に軽快で、サルタレロ調の雰囲気に溢れた楽しい楽章といえる。しかし、どうにもメロディが口ずさむ事ができないにもかかわらず、どこか全体的に古臭い。これこそ、演奏される機会に恵まれない彼の4つの交響曲に共通して言えることかもしれない。マルティノンの演奏も熱を帯びてはいるものの、どうにも釈然としないのは、彼の演奏如何ではなく曲自体の問題ではないかと改めて思う次第である。

【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床

ジャン・マルティノン/フランス国立放送管弦楽団[1972年録音]
【EMI:CZS 7 62643 2(輸)】