ムソルグスキーの歌曲集《死の歌と踊り》を今日は紹介する。
「死」というテーマで統一され、「子守歌」「セレナード」「トレパック」「司令官」と題された各曲。死神の不気味さを表現した、なんとも奇々怪々な作品と言える。とにかく不気味な重苦しい空気に曲は包まれ、その憂いに満ちた音楽は、ムソルグスキーの「展覧会の絵」のような作品では感じられない別の「顔」を垣間見ることができる。彼の作品の特徴でもあるが、他の作曲家が手を加えることによってその曲の魅力が何倍にも増幅する。この作品もショスタコーヴィチのオーケストレーションによるが、その重たくも不気味な空気を、的確にオーケストラで表現していると言える。
厶ソルグスキーに傾倒するアバドの音楽も、作曲家の音楽的魅力を熟知しているだけあり、短い作品の中にも劇的な音楽を作り上げている。
【推奨盤】
クラウディオ・アバド/アナトリー・コチェルガ(B)/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団[1994年2月録音]
【SonyClassical:SICC10002】