ヒゥーゴ・アルヴェーンの代表作である「夏至の徹夜祭」のオリジナル版である管弦楽による録音を紹介する。アルヴェーンはスウェーデンを代表する作曲家で、今日ではこのスウェーデン狂詩曲や数多くの合唱曲を残したことで知られている。合唱好きの方には、オルフェイ・ドレンガーの指揮者を務めていた、といえば少しはイメージが湧くかもしれない。彼の作風は正統的なロマン派の響きを踏襲しており、北欧独特の弦楽器の美しさにも溢れる佳品が多い。19世紀初頭の同時期に活躍していた作曲家に比べると、こじんまりとした雰囲気は否めないが、北欧独特の弦楽器の美しさを存分に堪能できるはずだ。
ここで紹介するデュトワ盤とヤルヴィ盤の聴き比べは、実に面白い。平易な表現ではあるが、デュトワ盤は色彩感覚に優れた演奏であり北欧的とは正直言い難い。ヤルヴィ盤は、正に北欧的な一種のモノクロームな演奏となっており、この曲の魅力を最大限に表現しているといえる。

【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床
ネーメ・ヤルヴィ/ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団[1987年12月録音]
【BRILLIANT:897(輸)〔原盤:BIS〕】


【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床
シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団[1995年録音]

【Decca:452 482-2(輸)】