小学校の低学年で使用する音楽の教科書でも取り上げられている、フランスを代表する作曲家のジャック・イベールの『ディヴェルティメント』を紹介する。祝祭色が強く、イベールらしい情景描写に富んだカラフルなサウンドで室内オーケストラのレパートリーには欠かすことのできない作品といえる。もともと「イタリアの麦藁帽子」という舞台の付随音楽として作曲したものから、いくつかを抜粋して編まれたのがこのディヴェルティメントである。その劇のストーリーは「結婚式の日に麦藁帽子を取り戻そうとして起きるドタバタ」であり、実に荒唐無稽な内容である。しかしながら、そのテーマの滑稽さゆえに、曲は親しみやすく、情景を想起しやすいメロディにあふれている。イベール入門としてはお奨めの一曲である。

【推奨盤】
乾日出雄とクラシック音楽の臥床
佐渡裕/コンセール・ラムルー[1996年4月録音]
【Naxos:8.554222J】