クラウディオ・アバドについて、わざわざここで細かい生い立ちを書く必要はないであろう今を生きる巨匠のひとりである。そんなアバドのデビュー盤を紹介しようと思う。
ウィーン・フィルと残したベートーヴェンの7番と8番の交響曲である。1966年と68年に録音したもので、後に残したウィーン・フィルやベルリン・フィルの録音とはひと味もふた味も違う演奏を聞かせている。マエストロ・アバドを敬愛する自分にとっては、なかなか衝撃的な録音だ。予想に反して落ち着きを払い、滋味な演奏といえるが、当時のベートーヴェンの演奏スタイルを考えると、全体的にスピード感には溢れている。若さ故の迸るものはあまり感じられないものの、数年前に録音したベルリン・フィルとの演奏を聞いてしまうと別人のような印象をもうけるが、要所では今に通じる片鱗をも垣間見ることができる。アバドの指揮者としての第一歩を刻み付ける録音としては大変興味深く、他の録音と聞き比べると彼の大きな変容ぶりを窺い知ることができる一枚だ。
【推奨盤】

クラウディオ・アバド/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団[1968年11月録音]
【DECCA:PROA-202】
ウィーン・フィルと残したベートーヴェンの7番と8番の交響曲である。1966年と68年に録音したもので、後に残したウィーン・フィルやベルリン・フィルの録音とはひと味もふた味も違う演奏を聞かせている。マエストロ・アバドを敬愛する自分にとっては、なかなか衝撃的な録音だ。予想に反して落ち着きを払い、滋味な演奏といえるが、当時のベートーヴェンの演奏スタイルを考えると、全体的にスピード感には溢れている。若さ故の迸るものはあまり感じられないものの、数年前に録音したベルリン・フィルとの演奏を聞いてしまうと別人のような印象をもうけるが、要所では今に通じる片鱗をも垣間見ることができる。アバドの指揮者としての第一歩を刻み付ける録音としては大変興味深く、他の録音と聞き比べると彼の大きな変容ぶりを窺い知ることができる一枚だ。
【推奨盤】

クラウディオ・アバド/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団[1968年11月録音]
【DECCA:PROA-202】