メンデルスゾーンが残した8巻の無言歌は作曲年代の幅は広いもののその作風は一貫して詩情溢れる歌心が満開の作品の数々といえる。20歳から23歳の頃に書かれた作品が集まるこの第1巻はその美しさは全8巻の中でも際立っていると感じる。第1番から『甘い思い出』『後悔』『狩りの歌』『ないしょの話(信頼)』『不安(眠れぬままに)』『ヴェネツィアの舟歌第1』という表題が付され、第3番の『狩りの歌』はピアノの発表会で耳にすることが多い作品でもある。『狩りの歌』もそうだが、それ以外の作品も、ひと際抒情的で静謐な世界が美しさを際立たせているといえ、ここで紹介する田部京子の演奏がまた繊細なタッチで描かれており、実に素晴らしい。お勧めだ。
【推奨盤】

田部京子(Pf)[1993年4月録音]
【DENON:COCO-70450】
【推奨盤】

田部京子(Pf)[1993年4月録音]
【DENON:COCO-70450】