最近、関西の吹奏楽界が熱い。それを証明する一枚のアルバムがこれだ。『真島俊夫の世界』という副題がつけられたフィルハーモニック・ウィンズ大阪の第6回定期演奏会のライブ盤だ。吹奏楽ファンにはいまさらの説明は必要ないだろうが、クラシックファンには若干馴染みが薄い作曲家でもある真島俊夫の魅力を大阪の迸る才能の息吹で堪能できる一枚だ。


真島の代表作が「これでもか!!」と言わんばかりに溢れるこの録音。ナヴァル・ブルーに始まり、三つのジャポニズム、オーメンズ・オブ・ラブに宝島(後者2曲は和泉宏隆作曲)。彼の作品の魅力ともいえる親しみやすいサウンドとアレンジの妙はこの録音では存分に楽しむことができ、ライブならではの躍動感がまたこの作品群の魅力を存分に引き出しているといえる。須川展也を始めとする豪華なゲスト奏者も華やかさを一際演出しており、休む暇無く、聴き倒してしまう一枚だ。

『三つのジャポニズム』は真島を代表する吹奏楽曲であり、日本が世界に誇ることのできる作品でもある。「鶴が舞う」「雪の川」「祭り」と題された3つの日本的な要素を、吹奏楽という西洋音楽の中で表現することに成功した好例であり、海外の楽団もがこの作品をしばし取り上げる理由が頷ける。

【推奨盤】
乾日出雄とクラシック音楽の臥床
真島俊夫/フィルハーモニック・ウインズ大阪[2008年10月録音]
【四つ葉印:YGMO-1006】