『タイタニック号の沈没』で知られるイギリスの作曲家・ギャヴィン・ブライアーズの初期の傑作を紹介したい。
一度聴いて拒否反応を起こした人には、なかなかわかってもらえないのだが、聴き続けていると知らぬ間にブライアーズの世界に引き込まれている。浮浪者が歌う短い賛美歌が抑揚をつけながらひたすらに繰り返され、オーケストラの伴奏が追加される。ブライアーズ独特の静謐な世界を、この音盤で体験していただきたい。
元気なときに聴いてもあまり効果がないかもしれない。物思いに耽りたい時、悩みあぐねている時、そんなときに聴くとショック療法のような効果が得られるかもしれない。そんな人、聴いてみてください。無性に今、この曲を堪らなく聴きたい自分がいる。ある意味「癒し系」かもしれない逸品だ。

【推奨盤】
乾日出雄とクラシック音楽の臥床
トム・ウェイツ[1993年録音]
【Point Music:438-823-2(輸)】