混声合唱の経験がある方は歌った事が多いかもしれないグノーの「聖チェチーリア荘厳ミサ曲」だが、クラシックファンにはあまり浸透していない。録音もあまりされておらず、ただアマチュア合唱団のレパートリーとして広く愛されている。

グノーの作品というと、オペラや声楽曲が数多く残されており、「ファウスト」が彼の代表作といえる。彼の晩年は戦乱を避け、イギリスに移り、王立合唱教会の指揮者も務めるほどに合唱に精通しており、そんな彼が作り上げたこのミサ曲は興味深い。曲はというと、幾度となくユニゾンで登場する合唱が妙に世俗的な壮大さを助長させ、合唱団がその都度、聞き手を圧倒する。そんな中で俄かに登場する、安らぎに満ちた聖なるハーモニーがこの作品に潤いを与えているといえるだろう。

【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床
ジョルジュ・プレートル/バーバラ・ヘンドリックス(S)/ローレンス・デール(T)/ジャン=フィリップ・ラフォン(Br)/フランス放送合唱団/フランス放送新フィルハーモニー管弦楽団[1983年12月録音]
【EMI:CDC 7 47094 2(輸)】