ジョゼフ・ブローニュ・シュヴァリエ・ド・サン=ジョルジュ(1739頃~1799)はカリブ海のフランス領グアドループ島でフランスからの移民と現地の島民との間に生まれ、武術や乗馬に長け、剣士や軍人といった肩書きも併せ持っていたかなり異色のヴァイオリニストであり、作曲家である。


彼の音楽がどのように育まれてきたかは謎に包めれているが、ここで聞くことのできる彼の作品はハイドンやモーツァルトの作品にも負けないくらいの味わいがある。本人もヴァイオリンを弾いていたこともあり、この協奏曲も美しさに包まれ、ヴァイオリンが可憐に花を咲かせている。西崎が奏でるヴァイオリンは、過度な脚色をせずに作品の持つ真の姿を表出しており、実に美しい。



【推奨盤】

乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床


ヘルムート・ミュラー=ブリュール/西崎崇子(Vn)/ケルン室内管弦楽団[2000年5月~6月録音]

【Naxos:8.555040(輸)】