『作品番号101』というメンデルスゾーンの作品の中では、かなり大きな数字が付されているこの『トランペット序曲』だが、実は初稿が出来上がったのは17歳の時。『夏の夜の夢』序曲が作曲された年と同じである。作品番号が大きいのは、メンデルスゾーンの遺作として出版された経緯に起因しており、作風は早熟のメンデルスゾーンらしい快活なリズムとメロディに溢れた作品といえる。冒頭のトランペットのファンファーレのリズムが曲の中で幾度と登場し、特にテーマがあるというわけでもなく、いわゆる絶対音楽である。中間部で聴かせる叙情的な旋律は、後のメンデルスゾーンの作品で聴くことができる情景描写に富んだセンスを感じることもできる。あまり演奏される機会が少ないが、若かりし頃の作曲家の迸る才能を体感できる作品といえる。



【推奨盤】

乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床


クラウディオ・アバド/ロンドン交響楽団[1986年11月録音]

【DG:471 467-2(輸)】