合唱大国といえるスウェーデンを代表する作曲家、ステンハンマルが残した合唱曲の名作を紹介する。
『9月』『後宮の庭にて』『私に天使が訪れたなら』と題された3つの曲から成り、北欧の無伴奏合唱曲の白眉ともいえる、澄み渡る美しさに満ち溢れている。特に『後宮の庭にて』は古今の合唱曲の最高傑作ともいえるだろうし、アンコールピースとしても海外の合唱団の来日公演でもよく耳にする。いつもこの曲を聴くたびに思うことだが、単純にして洗練されたハーモニーは音符の数を遥かに超越した世界がそこにある。劇場内がまるでキューポラの中のような空間と化す瞬間がどうにもたまらなく好きで、心に染み入ってくる。
3曲で6分にも満たない小品だが、そこに凝縮された北欧の合唱の極みは格別である。
【推奨盤】
ステファン・パークマン/デンマーク国立放送合唱団[1995年8月録音]
【CHANDOS:CHAN 9464(輸)】