1977年の全日本吹奏楽コンクールの課題曲であり、今では吹奏楽愛好家の中ではバイブル的な存在になっている東海林修の『ディスコ・キッド』を満を持して紹介する。
吹奏楽コンクールの課題曲にしては破天荒なまでにノリがよく、エレキベースとドラムスが駆使されるポップス調の作品だ。この作品の録音はいくつも残されているが今日はあえて2種類紹介する。
まずは佐渡裕が指揮するシエナ・ウインド・オーケストラの録音。ライブ盤ということもあり、また、日本を代表する演奏家ということもあって、その演奏の技術とパッション、魅せ方と聞かせ方は天下一品だ。バーンスタイン仕込みの佐渡ならではのダイナミックな演奏は、ライブならではの高揚感を伴ってボルテージは最高潮に達する。それがこの演奏の一番の魅力だ。
もうひとつ・・・、加養浩幸が指揮する土気シビックウインド・オーケストラの録音を紹介する。日本屈指のアマチュア吹奏楽団で毎年コンスタントに録音を残しているバンドだ。云わずと知れた全国大会の常連であり、その技術とアンサンブル能力はアマチュアの域を超越したものがある。そんなバンドが奏でる『ディスコ・キッド』は、予想通りに上手い。折り目正しい楷書的な演奏ではあるが、理性的なパッションの表出がスタジオ録音であるがゆえと感じる。下手なプロの演奏を聴くくらいなら土気シビックの演奏に大枚を叩いたほうが無難な気がする。そんな気にさせてくれる彼らの演奏だ。
プロアマそれぞれ日本を代表するバンドで聴く『ディスコ・キッド』。吹奏楽の楽しさを存分に味わえるものであるのは確かである。
【推奨盤】
佐渡裕/シエナ・ウインド・オーケストラ[2004年12月録音]
【avex:AVCL-25036】
【推奨盤】
加養浩幸/土気シビックウインド・オーケストラ[2009年2月録音]
【CAFUA:CACG-0131】