『パシフィック231』や『ラグビー』、『アンデス越え』『大西洋横断飛行』『火刑台上のジャンヌダルク』といった作品を書き、「音楽的絵画」のスペシャリストとでもいいたくなるような作品を数多く残しているアルテュール・オネゲル(1892~1955)の作品を紹介する。

『勝利のオラース』と題された管弦楽のための作品、オネゲル曰く「自分の作品の中で最も独創的で、最も成功した作品」という。作品自体は、攻撃的な響きに包まれ、無調へと向かう半音階的書法が駆使されており、8つのエピソードから成る20分弱を要するこの作品は、聴く側にとっては結構な体力を使う大作といえる。「ローマ建国史」に着想を得ており、一筋縄には行かない哲学的な要素を多く含んでいるこの作品を、オネゲル入門としては紹介はできないが、オネゲルの音楽的本質を感じるには最も優れている作品といえる。

【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床
ミシェル・プラッソン/トゥールーズ市立管弦楽団[1991年6月&9月録音]
【DG:POCG-1675】