スイスの作曲家、ヨーゼフ・ヨアヒム・ラフ(1822~1882)の交響曲第2番を紹介する。ヴァイオリンを嗜んだ事のある方なら、カヴァティーナという小品を作曲した人と紹介すれば分かるかも知れない。交響曲第1番を41歳で書き、実に遅咲きともいえる作曲活動を歩んできたラフだが、この第2番も40歳代半ばに作り上げている。その年齢にして、この交響曲の作品番号が「140番」ということも、彼の音楽家としての人生の苦節を感じることができるだろう。
彼の作風としては伸び伸びとした大らかなメロディ・ラインが実に特徴的である。交響曲第3番と第7番のそれぞれの副題を『森にて』『アルプスにて』と付けている事からも分るとおり、彼の音楽は常に大自然の空気を感じることができ、また四季折々の風合いを感じることができる作品に富んでいると言える。この第2番もタイトルこそ付いてはいないものの、その伸びやかな音楽的な広がりは、ここでも顕在である。メンデルスゾーンがお好きな方は、ラフの作品も好きになれるのではないかと感じる。あまり紹介される機会が少ないラフの隠れた名曲が、世に認められる日が来ることを願うばかりである。
【推奨盤】
ハンス・シュタードルマイアー/バンベルク交響楽団[2000年12月録音]
【TUDOR:7102(輸)】