武満徹の編曲の妙技を堪能できる作品を紹介する。


ギターのために12の名曲を編曲したもので、そのセンスのいい洒落た編曲は「さすが」タケミツである。ロンドンデリーの歌、オーバー・ザ・レインボー、サマータイム、早春賦、失われた恋、星の世界、シークレット・ラヴ、ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア、ミッシェル、ヘイ・ジュード、イエスタデイ、インターナショナル。以上12曲が編曲されている。ギター音楽のレパートリーの少なさを嘆いて編曲されたこの数々は、国もジャンルも超越しているが、どの曲も魅力溢れるものばかり。


福田進一の演奏も「歌心」溢れる演奏で聴き手を酔わせてくれる。タケミツだからといって、不協和音が奏でているわけではないので彼の作品が苦手な方でも充分に楽しめる。疲れたときに聞くには丁度いい一枚かもしれない。併録されている名曲『フォリオス』もまた、名演である。



【推奨盤】

乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床


福田進一(G)[1996年10月録音]

【DENON:COCO-80447】