ショスタコーヴィチが残した15曲の交響曲。その最初を飾る第1交響曲は、かれのレニングラード音楽院の修了制作として書かれたものである。19歳で書かれた作品にしては確立された作風に驚かされる。特に第2楽章は、さながら彼のピアノ協奏曲第2番を聴いているかのような充実したリズムの躍動が印象的。第9交響曲で聴かせる沈鬱な響きもこの作品でも随所に見られ、彼の天才ぶりを窺い知る事ができるだろう。第3楽章から切れ目なしに続く第4楽章では、荒削りながらも練られた構成はさすがのものである。
あまり演奏される機会は少ないが、曲の魅力を最大限に引き出したラトルとベルリン・フィルの演奏は一聴の価値はあるだろう。

【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床
サイモン・ラトル/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団[2005年6月録音]
【EMI:TOCE-55835-36】