1957年生まれの韓国の中堅指揮者、ジョン・ヴィクトリン・ユウの録音を紹介する。ラフマニノフが学生時代にモスクワ音楽院の最後の課題として作曲したのがこの『ユース・シンフォニー』であり、オペラ『アレコ』であるといわれている。
なかなか演奏される機会の少ない『ユースシンフォニー』は、シンフォニーと称してはいるものの単一楽章からなっているのが特徴だ。習作の域は脱していないものの、オーケストレーションは18歳にしては流石の完成度といえる。チャイコフスキーの面影を随所に感じることができる作品ともいえ、後に聞くことができる、ラフマニノフならではの甘い旋律も時折垣間見えて実に面白い。
ユウも端正なバランス感覚で作品を冷静に表現しているといえる。併録されている交響曲第2番はアンサンブルやパッションにおいて納得しにくい面が多々あるが、この『ユースシンフォニー』は、見違えるようなサウンドを展開しており、これはお勧めである。

【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床
ジャン・ヴィクトリン・ユウ/フィルハーモニア管弦楽団[1997年7月録音]
【EXTON:OVCL-00124】