スペインのバスク地方に生まれたヘスース・グリーディの作品を紹介する。フランスでヴァンサン・ダンディに作曲を師事し、母国へ戻りビルバオを拠点に活動していた作曲家である。彼が残した作品はバスク地方の民謡に基づいた作品が多く、ここで紹介するサルスエラ『農場』もそのひとつといえる。
スペインの叙情的オペラともいえるサルスエラだが、どの作品も耳に馴染みやすい作品といえる。ここで紹介する『農場』もまた実にメロディアス。スペインの、とある村で起きる男女の恋物語という、分かりやすいストーリも相俟ってスペイン語が分からない人たちでも充分に楽しめる1枚といえる。
演奏するのはグリーディの地元のオーケストラであるビルバオ交響楽団。オール・スパニッシュ・キャストで聞くサルスエラは秀逸といえる。ちなみに、ビルバオ交響楽団は東京で毎年春に行なわれる「ラ・フォルジュルネ」にも出演しているオーケストラである。彼らの録音は稀少なので、その時に彼らの演奏に接した方々には是非とも聞いてもらいたい1枚ともいえる。

【推奨盤】
乾日出雄の勝手なクラシック音楽備忘録
フアン・ホセ・メナ/ビルバオ・コーラル・ソサエティ/ビルバオ交響楽団/他[2001年8月録音]
【Naxos:8.557632】