ウェーバーの『魔弾の射手』といえば、カルロス・クライバーが残した録音があまりにも有名であり、定番として広く定着している。そんな『魔弾の射手』の録音の中で、ブルーノ・ヴァイルが残した演奏が面白くて聴き応えがある。


古楽奏法と唱法を用い、今までに無いウェーバーの世界を表現しているといえる。無駄の一切を排除し、一音一音を丁寧に表現しているヴァイルの演奏は斬新であり、清新でもある。ロマン派の音楽を歌わせたら当代随一のゲルハーエルの歌唱もまた、ヴァイルの真意に迫る説得力に満ち、「目から鱗」の演奏を展開している。
全てにわたって、ある意味刷新を図っているこの録音は、クライバー盤に聴き慣れた方々には是非とも聴いていただきたい録音である。聞き比べるとその違いが歴然であり、それがまた面白い。
個人的にはクリストフ・プレガルディエンの演奏が聴けるこの盤は一際、愛聴している。

【推奨盤】
乾日出雄の揺蕩うクラシック音楽の臥床
指揮:ブルーノ・ヴァイル

管弦楽:WDRカペラ・コロニエンシス

合唱:ケルンWDR放送合唱団(合唱指揮:ゴットフリート・リッター)

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ボヘミアの領主オットカール:クリスティアン・ゲルハーエル(Br)

護林官クーノー:フリーデマン・レーリヒ(B)

アガーテ:ペトラ=マリア・シュニッツァー(S)

エンヒェン:ヨハンナ・ストイコヴィチ(S)

狩人カスパル:ゲオルク・ツェッペンフェルト(B)

狩人マックス:クリストフ・プレガルディエン(T)

隠者:アンドレアス・ヘール(B)

富農キリアン:クリスティアン・ゲルハーエル(Br)

花嫁に付き添う4人の娘:クリスティアーネ・ロスト(S)/アンケ・ランベルツ(S)/ガブリエーレ・ヘンケル(S)/アンドレア・ヴェイト(S)

悪魔ザーミエル:マルクス・ジョン(語り)

[2001年6月録音]
【DHM:BVCD-37009~10】