吹奏楽ファンには『76本のトロンボーン』の作曲家といえば身近に感じるであろうアメリカの作曲家、メレディス・ウィルソン(1902~1984)が残したブロードウェイ・ミュージカルの傑作『ミュージック・マン』をカンゼルとシンシナティ・ポップス・オーケストラの録音で紹介する。
もともとフルートとピッコロを吹いていたウィルソンはスーザ楽団やニューヨーク・フィルでも演奏していた経歴を持つ作曲者であり、彼ならではのオーケストレーションは実に華麗だ。ピッコロの演奏効果も熟知し、随所にその魅力が存分に発揮されている。
「アメリカの田舎町で楽器や楽譜を売りつける詐欺師の物語」であり、話し自体は極めて面白いというわけではない。しかし、楽しく親しみやすいミュージカル・ナンバーにあふれており、ガーシュウィン、バーンスタインとは一風変わった、しかしながらブロードウェイの香りが「プンプンする」この作品は心から楽しめる。吹奏楽ファンもこれを聞くと、日頃演奏している『76本~』をより深く理解することができるに違いない。
【推奨盤】
エリック・カンゼル/シンシナティ・ポップス・オーケストラ/他[1991年4月録音]
【TELARC:CD-80276(輸)】