ウィーン音楽の伝統を受け継ぐ20世紀の名ヴァイオリニスト、クライスラーによって作曲されたこの協奏曲は初演当時はヴィヴァルディの作曲として演奏されていた。クライスラーは当初この作品を、『ヴィヴァルディの筆写楽譜を偶然に入手し、自分で編曲を施した』と語って演奏をしていた。クライスラーが自分の作品であると告白した後も、それを冗談としてしか受け止めず、ヴィヴァルディの作品と思い込み続けた人もいるという。それほどまでに曲はヴィヴァルディの様式に則っているのである。「ヴィヴァルディがクライスラーの作品の特徴とも言える甘美なヴァイオリンの音色を身に纏っている」とでも表現するのが分りやすい作品かもしれない。
【推奨盤】

ギル・シャハム(Vn)/オルフェウス室内管弦楽団[1993年12月録音]
【DG:UCCG-2026】
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ギル・シャハム(Vn)/オルフェウス室内管弦楽団[1993年12月録音]
【DG:UCCG-2026】