雪の降る町(仮) | ハマモトブログ

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濱本悟による日記・雑記等


アスファルトの上で解けていく 粉雪が降り始めた町
慌ただしい毎日を過ごす 人々は不意に足を止める

目の覚めるような 冷たく張り詰めた空気が辺りを満たしていく


大粒に変わった雪たちが 解けることもなく重なっていく
薄汚れた灰色の世界を白に染めて 時間さえも止める

目を疑うように綺麗な景色が 僕らの町を包んでいく


窓の外を見て息を飲んだ少年は 外へと飛び出した
あまりの光景に思わず頬をつねってみる
はしゃぎ回る犬を連れた少女が 足跡を残して過ぎ去った
それでもまだ 景色は消えたりしなかったんだ


君のずっと待ち焦がれた雪が この町に降り積もると
痛みは去って 溢れ出す涙が僅かに光を放つよ
慣れてしまった灰色の世界では 無くしていた思いと
嘘のない 君に伝えた言葉の意味を確かに思い出すよ



遠い昔の記憶に埋もれている 今日みたいな雪の積もった町
声を上げて走り回ったこと 寒さすら感じなくなっていく

無我夢中になって雪を転がして 二つ目を上に積み重ねた
仕上げに落ち葉と木の枝で顔を作ってみる
通りかかった老年の紳士は 微笑みを浮かべて立ち去った
それもまた 思い出を一つ確かめるような

君のずっと待ち望んでいた 白に染まるこの世界を
二人並んで歩いていけたらと そう願ってしまうよ
生まれてすぐの真っ白な世界では ありふれたその想いと
偽りのない 本当のその言葉を もう二度と忘れたりはしないよ