五木 寛之/著
初版は1971年、まだ生まれていない頃にもかかわらず、情景が浮かび上がるのは著者の背景描写や音の描写によるものと思われる。
本棚にも入らず段ボールの中に眠っていたものであり、恐らく購入したのは著者にハマっていた20歳前後だと思う。
著者の作品を最初に読んだのは教科書を除けば中学生。兄が買っていた『疾れ!逆ハン愚連隊』で、その後著者の作品はほぼ読んでいる(エッセイは全く読んでいない)
当作品に関してのイメージは日本海。日本海に育った姉妹に満州から引き揚げてきた夫婦。主人公を含め翳があり、生きることの辛さや儚さを演出する。
マスコミ界で活躍する姉、姉の蔭に隠れてきた意外な才能を持つ妹。レコード会社の重役にその妻。
交通事故から始まる人間関係の交差に男と女の感情の移り変わり。
とにかく上手い。
この作品を読むのも何度目か分からないが、不思議と著者の作品は毎回読んだあとの感想が異なる。ミステリーなどのように解決といった事がないからだろうか。
悪く言えば中途半端なのだが、そんな事はなく、十分な満足感はある。
次に読むのはいつになるのか…。
いい小説は何回読んでも満足できる。
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