五月雨ゆか -2ページ目

五月雨ゆか

稚拙な文章ですが趣味で小説書いています。内容はすべてフィクションです。


















「おはよ、しーちゃん」



「おはようございます」



「今日もかわいいね」



「ありがとうございます」



「あ、教室まで送るね」



「ありがとうございます」



この子は山下瞳月ちゃん。



1学期の最初の方に見かけてから声をかけて仲良くなった後輩ちゃん。



こうやって下駄箱から1年生の教室まで送るのが日課なのだ。



え?家から一緒に行けばいいじゃんって?



それはなぜか駄目って言われました。



なぜだろう…



「藤吉さんどうして教室までついてくるんですか」



たしかに、言われてみれば教室まで送っているなどと言うのは私の思い上がりだったのかもしれない。



「なんでしーちゃんはいっつも下駄箱で待ってるの?」



よし、カウンター決めた。



この子何も言ってないのにずっと下駄箱で私が来るまで待ってるんです。



「ふふっなんででしょうね」



この子にはいっつもこうやって躱されるんだよなぁ…



「はい、これ」



「なんですか?」



「飴ちゃんあげる」



「なに味ですか?」



「りんご」



「ありがとうございます。でも私、グレープの方が好きだな」



「じゃあ今度はグレープ味用意しとくね」



「あ、それならならイチゴ味がいいです」



「じゃあイチゴ味用意しとくね」



「ありがとうございます。教室着きました。ではまた」



「うん。ばいばい」



こうして今日も日課をこなした藤吉は自分のクラスの教室に向かうのだった。



「餌付け失敗してるやん」



「武元うるさい」



「まあ瞳月ちゃん、やっけ?確かに可愛いもんな。いろいろどんくさいらしいけど」



「そうなん?」



「この前合同体育でひかるが一緒になったらしいけどひかるのゲラが止まらんくらいどんくさかったってさ」



やっぱりそういうとこ可愛いよなぁ



「そういうとこ可愛いとか思ってんやろ?」



「うるさい!」



「やっぱり図星やん」