空は蒸暑い雲が湧きいでて、雲の奥に雲が隠れ、雲と雲との間の底に蒼空が現われ、雲の蒼空に接する処は白銀の色とも譬え難き透明な、それで何となく穏やかな淡々しい色を帯びている、其処で蒼空が一段と奥深く青々と見える(本文より)
※「雲」が六回、「空」が四回。
蒼空の蒼は老いたる様の意味がある。(青は未熟、若い)
つまりこの空は長い時間を経由してきた昔からの大空なのだ、事の起こりを総て知っている宇宙の一端なのだという認識が読み取れる。
雲と雲の間の底に蒼空が現われというように光と影の明暗を重ねている。
読み進めていくと「影」「藪」「陰」の文字が浮かび上がってくる。
文字を暗号のように絵画的に散りばめ、ある種の印象から内容を理解させていくという不思議なゲーム感覚がある。
空中、光と熱、大空、天際の空、銀粉、ぎらぎら輝て、光線、煌て、緑の光・・・。
藪、籠る、桜の陰、陰影、薄暗く、雲の影、生と死、死を書けば生が、生を書けば死がという関係性。全ての源は自然にあるという主張。
蔭/shade→the shads/黄泉の国。
この(六)は、一見、一語、一尺、一段、一種、一角、一面、一直線、一種、一本・・・。
一/one、この章は吾個人の冥府にいる人々、風景を描いたのかもしれない。