いずれにしろこれでも、一口大きくかじって確かめたところでは、監視人どものお情けで手に入れられたかもしれぬ汚らしい深夜喫茶の朝食なんぞより、はるかに結構だった。
「一口大きく」なんていう言い方があるだろうか? Bissenは/少量
「大きい」と「少し」、意味を一つにしている。少しに見えるが大きいもの、たとえば(月食)等です腰かけても内実はものすごく大きい。つまり生活の範囲を超えた尺度の量(面積)なのである。
※確かめる/versicherte→versuchen/試み、企て、試食する
汚らしい/schmutzigen→schmalzig/脂ぎった
リンゴ/Apfrl→Opfel/捧げもの
深夜喫茶の朝食/喫茶/Kafe・Kaff(比)ばか話
☆天地創造以前のリンゴのほうは、監視人(天のお父さま)が好んで捧げものに指定したもの
そのすべての脂肪をささげなければならない。すなわち脂を内蔵をおおう脂肪、二つの腎臓とその上の腰のあたりにある脂肪…。(レビ記・第7章)レビ記を読むと主しきりに脂を希望している。
《いずれにしろこれでも、天地創造以前の何の伝説にも染められていないリンゴのほうが監視人どものお情けで手に入れられたかもしれぬ脂ぎったバカ話なんぞより、はるかに結構だった。》
いまごろたぶんまたぞろ向かいの窓にむけ行進中の、あのむこうの二人の老人でもよかった。
※行進中/Marsh→Masse/大衆、集団
☆二人の老人というのは男女の性別であってKの祖先であれば大衆、集団を超えた人々だったのではないか。
(向かいの窓)というのは(あの世とこの世の転換点)
ぎんこうのほうはむろん今日の午前中は休むことになるが、これも彼が占めている比較的高い地位からすれば、言いわけをするのは簡単だった。いいわけには本当の理由を言うべきだろうか?
※銀行/Bank→冥土、あちらの世界
Blanke/空地、光沢のあること
blank/輝いている、清浄な真白な、裸の
☆カフカの設定した銀行のBlank(空地/無)
有るけど無い、無いけれども有る、実態なき時空
※druben、dort/来世で
午前中/vormalig/以前の
休む/versamte→verschamt/恥じた
比較的/verhaltnismassig→verhanging/悲運
地位/Stellung→still/秘密の、無言の
言いわけ/entschuldigt→Entscheidung/決心 Entschhadigen/償いをする
《以前は恥じたが、秘密(無言)の悲運についてちょっとした決心をした。その償いは本当になすべきだろうか?》
言いわけには本当の理由を言うべきだろう赤?(本当の理由、死)
そうしよう、と彼は思った。言うことが信じてもらえないときは
言う/gedachte、これは普通の「言う」ではなく述べる(遺言などで)とあり、死を意識した言葉である。
Kをいぶからせたのは、少なくともふだんの監視人たちの思考の筋道からして彼をいぶからせたのは、かれらが彼を部屋に追いやったまま、かれをここに一人っきりにしておくことだった。
※いぶかる/wenigstens→wanderer/浮浪者
思考の筋道/Gedankengang→Gedaenken/記憶、回想
追いやる/getrieben→gesriete/絶えず争う、不断の不和
☆この文章に内在する意味は文法的には不都合があるが、文章の下からもう一つの意味が見えてくる。たとえば浮浪者(放浪者)、浮浪者と聞くともなく聞こえ記憶(過去の回想)からすると、彼ら(主とユダ)は不断の不和だと暗示しているのである。