アン・ブリン | 旧ブログ

アン・ブリン



歴史絵巻は「篤姫」のように壮大で面白かった。

「ブーリン家の姉妹」と訳されている
陳腐な題名、せめて「ブーリン家のもう一人の娘」
という原題の方がぴったり。
深い歴史の闇に陽を当てている。

でも商業的に話はかなり史実と違うのが残念、
と思ったら、アメリカ映画。
でも三人のユダヤ系アメリカ人の主演がいい。

映画を観ながら、
違うな、違うなと思う。
外交官出身の父親が
娘を宮廷に送り込んで、はじめは
やさしく純情な妹が王の目にかない、

姉は妹を裏切らず、あの強さ、
長く王の意に従わなかったのが
本当ではないのか。今日に至るまで
宮廷人の嫉妬が彼女を魔女に仕立ててきた。

そしてエリザベス一世が生まれた。

でもヘンリー八世というとあの容貌魁偉の太っちょを
思い出すけれど、エリック・バナが演じたから
違う面が見えてきた。

国の中も敵だらけ、
フランス、スペインと敵に囲まれて
イギリスを立ち上げたのだ。

やさしさを秘めた純粋な男なのだ、
王を囲む不順なものに耐えられないのだという
ことがこの映画から見えてくる。

エリックバナ、あの「ミュンヘン」、「トロイ」
の兄王子、国に殉じる男の顔を持っている。

日比谷のシャンテにて、
勉強嫌いな人こそ
娯楽映画でヨーロッパを覗くことをおすすめ。
父、母、叔父、兄弟、姉妹の一面を見る。
人間の嫌さ、希望を見る。