黒岩祐治氏の目、映像を通してみえるもの | 旧ブログ

黒岩祐治氏の目、映像を通してみえるもの



麻生総理が決まった瞬間、
彼の最高の顔、
とにかく総理大臣になればそれでいいのさという顔。

月刊「ぺるそーな」10月号 黒岩祐治

「今年の夏は毎日のようにカミナリが鳴り響き、
スコールのようなゲリラ豪雨が降る異常気象となりました。

福田総理の突然の辞任会見はまさに
永田町に響いたカミナリのようでした。

ご自身は堅固な官邸の中にいて雷鳴すら
聞こえなかったかもしれませんが、
国民はいきなり嵐の中に放り出されて
ずぶ濡れにさせられたようなものでした。

彼の記者会見は何度繰り返して聞いても意味不明でした。
総理大臣が辞めるというのは重大なことです。・・・

本当は彼はこう言いたかったのではなかったでしょうか?
『だいたい僕は自分で総理になりたいと思って
なったわけじゃないんだからネ・・・

それより総理をやりたい人はいっぱいいるんだから、
やればいいじゃない。やらせてあげるよ」

・・・ちょうど、今、総裁選を華々しくやれば、
民主党なんてかすんじゃうから、ちょうどいいタイミングだよ。

結果的には僕が辞めたことで自民党が危機を脱して、
民主党を撃沈することができるかもしれない。

そうすれば、今はみんな僕のことを批判しているけど、
後からは自民党を捨て身で救った英雄になるんだよ。
僕は客観的に先を見通す力を持っているんだからネ。

・・・あなたとは違うんです。」』
福田総理の『あなたとは違うんです』という言葉こそ、
心の声がそのまま外に出た瞬間だったのではなかったでしょうか?

・・・一度だけ、彼の心の声が口をついて出たと感じたことがありました。

それは小沢代表との党首討論の場でした。
日銀総裁人事案をことごとく民主党に拒否され、
怒り心頭に発した福田総理は国会の場で
言葉を震わせながら次のように言いました。

『可愛そうなくらい苦労してるんですよ』
 総理が自分のことを可愛そうだと発言するなどということは、
おそらく前代未聞だったでしょう。・・・

テレビというのはいろいろな心の声を映し出すチカラがあります。・・・

・・何をバカなこと言ってるんだ。・・・
・・・ 彼らがたとえ売名行為を目的にして
いるだけであったとしても、
私たちの方から切り捨てるわけにはいきません。

議論そのものには耳を傾けるに値することもあることは事実なのです。

・・・メディアの立場の私から言えば、
内心忸怩たる思いです。

自民党が逆転しようがしまいが
それは私がとやかく言う筋合いのものではありません。

ただ、政治に利用されるのがわかっていながら、
利用されることを受け入れるしかないのが現実なのです。・・・

『でもね。テレビをうまく利用したつもりに
なっているかもしれないけど、よく考えた方がいいですよ。
視聴者はそんなにバカじゃないですからね。

しゃべればいいってもんじゃないですよ。
総理の器かどうか、しっかり見ていますからね。
よほど視聴者の心を捉える話ができていないと、
後で泣くことになりますよ』
 
討論を仕切りながら、私の心の声はそう囁いていました。」