無駄の効用 | 旧ブログ

無駄の効用



またくいしんぼの宣伝かと
いわれるでしょうが、

本棚を整理していて久しぶりに
「亡命ロシア料理」を手にして
あらためて再確認。
美食こそ人智を極めたものだと。

いわく
「女どもは長年の台所の奴隷労働から解放されたと
 勇ましく稼ぎにでかけたり、空手の稽古にいっているけれど、
 彼らの留守に男族は台所を聖地とできるのだ・・・」と

キレイもおしゃれも、本物の料理で磨かれるはずです。
第一に人間の感性をなによりも磨くものです。

西麻布の「アッキアーノ」
いついってもここのスパゲッティには
がっかりさせられることがない。

今日は栃木の茄子とトマトがたっぷりのパスタ、
ウニのパスタ、
とにかく味つけが半端じゃない。
シシリアのワインが美味しい。

美味しいものをいただくときは
うす味なんて亡命ロシア人にはきっと軽蔑される。

ところで
月刊「ぺるそーな」9月号で
中丸 知さんは嘆いていますが、

人生無駄なんて絶対ないと
いつか振り返って思うはず。

一部ご紹介します。
「・・・ 頭上を雲が覆い始めた。・・・
 現役の時は雲の一部を見てそれがどんな雲なのか、
 どう動くのかというのが何となく分かった。

 ところが、しばらく雲を眺めていてもこれがさっぱり分からない。

 現役を退いて十年近く経つからなのだろうか。・・少し悲しかった。
 
 ところが数日後テレビを見ているとそのときの気象についての解説があった。
 「小さな積乱雲が各地で散発的に起きた」
 まさに考えていた通りであった。
 あながち、そういう能力は、一度持つとそう簡単には失われないものなのかもしれない。
 
 それと同じようなことが、地震でもある。
 度重なる災害派遣の経験から、
 揺れを感じるだけで震度いくつだろう、
 震源はどこだろう、と考える習慣が今でも残っている。
 
 そういう習慣を通じてなのか、
 元々の能力なのかは全く分からないが、
 地震に関する感覚はかなり鋭いものがある。
 
・・・座っていればほぼ百パーセント、
 震度まで言い当てられる。
 加えて震源の方向さえ分かる。

 ・・・ところがこの能力も今となっては何の意味もない。
 今回の岩手・宮城内陸地震でも、
 「あ、地震、震度4あるな、……かなりでかいな、
 遠い、北の方、東北地方かな。……相当被害が出るぞ」
 というところまですぐに分かった。
 
 現役の頃であれば、すぐにそれで部隊に駆けつけてスタンバイ、
 ・・・(今は)今頃部隊では大童だろうな、と思って、それで終わり。
 
 自衛隊で学んだことの殆どについて言えることだが、
 それ自体はすごい能力だとは思うが、
 それが生活の糧として役立てられるということは全くない。」

中丸さんがいかに真剣に仕事に取り組んでいたかが伺えます。
けして中丸さんが自嘲されることはない、
そういう若い人が日本に存在することを知るだけでも貴重、

それが役にたたないことこそ、いいことですが、
どうも役に立つ日がくるような予感がします。

わが事務所に退役の自衛官がいますが、
いまでも予備役の訓練には年に一度参加しています。

この心構えがとても国にとって大切だと思います。

私の願いは、全ての若者が男女とも、
成人式と同時に青年キャンプで一年間、
海岸の整備や僻地への派遣、
農作業や、高齢者に奉仕すること。

徴兵制ではなく、
自分の国を自分でつくる責任を持つ準備。
大人になるってそういうことだって知ること。