イタリアで働いてたとき、現地のイタリア人から質問されて「これは、何という?」ときたから、私はイタリア語で「オリーブオイル」と返答したが「違う」と彼は言う。


「エキストラ・ヴァージン・オリーブオイル」と彼はゆっくり言って私の返答を訂正した。「オリーブオイルとエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルは、違うんだ」と彼は現地ならではの流暢なイタリア語で言った。


イタリアではパスタとラザニアの日々で、たまに寿司を食べたくなって寿司屋へ行ってもジャパニーズレストランは中国人が経営しており、お世辞にも美味しいとは言えなかった。


イタリアのスーパーへ行くと、そこはズッキーニの山で、イタリア人はズッキーニを好む。生ハムやらチーズやらが豊富にあった。


水も日本のように水道の蛇口をひねればいいワケじゃなくて、スーパーで炭酸水をまとめて買って飲料とした。


街のトイレも基本的に有料で、日本の公衆トイレみたいにはいかない。


毎日毎日、パスタとラザニアと生ハムとチーズとズッキーニを食べていたから、和食への憧憬は並々ならぬものだった。和食のためなら私は何ユーロ支払っても食べたかった。


ご飯とお味噌汁と焼き魚とお漬け物、こんな和食はヨーロッパでは夢のまた夢。


帰国して、私はとにかく和食にありついた。


行ったことないが、友だちの話だと、ドイツでは必ず芋が食卓に並ぶという。芋ばかりで死にそう、という。


私はイタリア料理には飽きている。ズッキーニはもう見たくない。勘弁してほしい。


和食が、好き。私は一人暮らしだから食事を自分で拵える。誰か料理の上手な人と暮らしたいが、そういう女性は身近にいない。