私は、団鬼六さんから、メッセージをいただいたことがある。


「これからも、どうかよろしゅうに」


そう官能藝術の大家は結んでいた。


当時、まだ団鬼六さんの作品を鑑賞したこともなく、こんな私にどういう意味でメッセージが舞い込んだのか、真意も掴めずにいた。


後日、映画『花と蛇』を観た。


その後、不思議なことに、『花と蛇』に出演していた女優さんに会う機会に恵まれた。

艶っぽい人で、冗談ばかり言う。

宮城県仙台市出身だと記憶している。


団鬼六さんはもしかしたら私に期待を寄せていたのかもしれなかったが、あいにく私には何らの天分もなくて、一つだに書けず仕舞い。

逆立ちしても、ムリだった。


官能藝術というのは、ある意味、サービス狂だと思う。

「小説を書くのに、男も女もない」と川端康成はぶっきらぼうに言う。

ただ、官能藝術について私が思うのは、あれは女の手による作品だというもの。

厳密に、官能藝術は、女の手による作品だと思う。


Rー18文学賞というのがあって、女性作家限定の文学賞となっている。

南綾子さんが特に知られているのかもしれない。

私のような者は該当しない。


団鬼六さんの作品を鑑賞すると、作者がものすご〜い理論家だとわかる。

代数のように、理詰の作品。

私には、エレガントな数学に思える。


サービス狂でなければ決して書けない作品、それが官能藝術だと私は思う。

「ほらほら、こんなにサービスしてあげたでしょう」

というように。