気忙しく過ごしていると、そそっかしさからか、手落ちも目立つ。


半月ほど前、私のマンションで飛び降り自殺があった。


朝、職場に向かおうとしたら、警察官らしき人々がエントランスに多数いたので「どうしたんですか?」と私が訊くと「大丈夫ですよ」との女性警官からの返答だった。訝しく感じながらもそのまま私は出勤した。


一瞥したところでは、どうやら監視カメラの解析を警察官たちはしているように思えた。私が駅に近づくにつれ、みるみるうちに警察車両で私のマンションはいっぱいになり、重大事件が起こったのだと認識できた。引き返して再度質問したい衝動に駆られたが、職場に遅刻するわけにもいかず、私は電車に乗った。


マンション住民は全員が警察からの取り調べに応じたとのことだった。私は連日勤務で多忙だからか、調書にサインすることもなく過ごしている。


なぜ投身自殺があったのか、皆目わからない。それなりの事情と背景のある人物が、孤独のうちに自殺したのだろう。


私はこのマンションのかなり高いフロアで暮らしているので、階下をベランダから見下ろせば足許がすくむ。飛び降りたら即死する。恐ろしいから、階下を見下ろすこともあまりない。


「はまちゃんは、いつも仕事で忙しい」…このマンションで私は他の住民からそう言われている。


自殺した人が女性か男性かも私は知らない。知ったところでもはや対処のしようがない。


「東京の冷たさに、耐えられない」地方から来た人たちは口々にそう言う。


私はここで生まれ育って暮らしているから、よく分からない。地方への興味もさほどない。


今夜も、どこかの高いビルから、誰かが飛び降りて死んでしまう。


何も私はできなくて、いつもの夜のように、音楽を聴く。


自殺者は、コロナ禍から増えていると聞く。


ここ東京は、匿名の街。


よほどここに住み慣れていないと、生き方さえ分からないと思う。


詐欺やペテンもありふれていて、見抜くだけの法律知識がなければ、罠にハマってしまう。


莫大な借財を抱えての自殺も多いと思う。


人間関係でのトラブルも跋扈している。


自殺を防ぐには、近隣の仲間たちとのネットワークを築くことが肝心だと思う。


その際、怪しい者は排除するしかないのかもしれない。


信頼できる友人とのネットワーク、早急な構築が望ましい。