画家ムンクには精神障害があって統合失調症だったらしい。
彼の伝記を読んでいないから詳細は分からない。
作品『叫び』はアバンギャルドにも適用され、その話題はたいていからかいの笑いとなっている。ムンクがそれでむくわれるのか、個々人の判断によると思う。
聞こえもしないはずのことが聞こえる…幻聴の苦しみが『叫び』のモチーフになっている。
ムンクには姉がいて、彼は慕っていたという。それがどんな性質の愛だったのか、分からない。姉弟にしてはかなり性的な思慕だったのかもしれない。
個人的に、私は作品『病んだ娘』が好み。ここには《祈り》にも似たものが髣髴とする。
私にも実は障害が若干あるので、ムンクの気持ちはよく分かるような気がする。
ゴッホのような性急な症状ではないのが、ムンクの特徴だと思う。
ゴッホが俄かに外に向かったのに対し、ムンクは内へ内へと静謐のうちに向かう。
作品『吸血鬼』は表層的には女性の呪いでもあるだろうが、歴史を覆すような女性の復権を表現し得て興味深い。
画家ムンクはなかなか理解されない。
笑いの対象にされてしまう。
心無い人は嘲笑する。
歴史は常にそうだった。