バナナン☆バナミン 第十話
バナナン☆バナミン 第十話 ~最後の三日月~
バナミンとバナナンがバナナカフェに戻ると、セロトンとオイゲが待っていました。
「お兄様は?」
「森にある管理塔で装置の開発をしてるナン。明日の朝にはできそうだから見に来てほしいそうナン」
「そうなんだ。じゃあ明日みんなで一緒に行こうか」
セロトンが言うと、オイゲはうれしそうな顔をしました。
「それじゃ、今日はオイゲも泊まったら?」
バナミンは思わず言っていました。オイゲが目を見開いて振り向きます。
「そうだね。じゃあまずはお疲れ様ってことで、ムーンバナナジュースでも飲もうか」
セロトンはちゃっかり自分たちの分のバナナを持ち帰っていました。
夜になると、バナナタウンの空に三日月が灯りました。
みんなは二階に上がっておやすみの挨拶をします。
セロトンがいなくなると、オイゲがバナミンにこっそり耳打ちしました。
「追い出そうとして悪かったわ」
バナミンが何か言う間もなく、オイゲは自分の部屋に入っていきました。
「追い出そうとしてたのかー」
バナミンは苦笑すると、部屋のドアをぱたんと閉めました。
「バナナムーンの光ナン」
バナミンの部屋の窓辺から、バナナンは空を見上げました。
「明日になったら、ポリフェの装置に変わっちゃうんだね」
「これでバナナンがいなくなっても、バナナタウンは消えないナン」
「……バナナン、どこかに行っちゃうの?」
バナミンは、バナナムーンの光が映りこんだバナナンの瞳を見つめました。
「ずっと、考えてたナン。毎日毎日バナナを降らせて、あいつを待って、長いことやってきたナン。森で暮らしてた頃が懐かしくなったり、街なんか放っておいて消しちまおうかと思ったり、それでも本当に消えればいいと思ったことはなかったナン」
「……うん」
「でも、本当の本当は、バナナンはあいつに着いていきたかったナン。そんなことも忘れるほど、時間が経ってたナン。おまえに、あいつを探しに行こうって言われて、思い出したナン」
「……バナナンは、魔法使いを探しに行くの?」
「まあナン。最初は、ただ身代わり見つけて街を出ていければいいって思ってたけどナン」
「最初は……?」
尋ねるバナミンに、バナナンはニヤリと笑ってみせました。
「……もうポリフェが人身御供になったからぶっちゃけるけど、本当はおまえを騙して言いくるめて新管理人にして、バナナンは街をずらかる予定だったナン」
「ええ?! どういうこと?!」
「おまえ、外から森に入ってきたナン? この森には魔法がかけてあって、外から入って来れるのは魔法が使えるやつだけナン。最初に会った時、あいつが戻ってきたのかと思って行ったらおまえが倒れてて、こんなへぼ魔法使いなら恩着せて下僕にしてバナナハント覚えさせてバナナナ・バナナンの魔法仕込んで、新管理人に仕立て上げちまおうと思ってたのに……おまえ、魔法使いでもなさそうだし、外を旅したいなんて言い出すし……どうしようかと思ったナン」
バナナンは言いながら渋い顔になっていきました。
「ま、待って、ここに入って来れたってことは、私って魔法が使えるの」
「バナナハントができるなら素質はあるはずナン。まあ、別にもうバナナムーンの魔法も必要ないしナン」
「ええ?! できるなら使いたいよ魔法! 教えてバナナン」
「面倒ナン。バナナンがあいつに教え込まされたときもそりゃもう面倒だったナン。あれを教える立場なんて考えたくもないナン」
「そこを何とか!」
「嫌ナン!」
「私、家も身寄りも特技もないし、このままじゃまた行き倒れだよ…… 魔法が使えたら食いっぱぐれもないと思うの! お願いったらバナナン」
「いーやーナーン!」
ぎゃんぎゃんと言い合う二人を、バナナムーンの最後の光が照らしていました。
こうして次の朝、バナミンたちはポリフェの待つ森へ向かうのでした。
☆第十一話へ続く☆
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◆作者紹介◆
二月二二子
お話を書いて猫と戯れる日々です。
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