バナナン☆バナミン 第九話
バナナン☆バナミン 第九話 ~三日月管理人~
バナナンとバナナを抱えた四人が現れると、魚頭の町長は盛大なため息をつきました。
「またしてもバナナか……騒動の原因は」
バナナンは咳払いをすると話し出しました。
「今回の原因は、ポリフェの作ったバナナナン」
「ポリフェがバナナを……作っただと?!」
町長のまばたかない大きな眼を向けられて、ポリフェはびくっとしました。
「それは私がお兄様にわがままを言ったから……」
オイゲが言うのを、バナナンは押しとどめて続けます。
「オイゲはバナナタウンのバナナ不足を解消して、バナナを求める住人たちにバナナが行きわたるよう、ポリフェに装置作りを依頼したナン。そしてポリフェは見事、バナナ量産装置を開発したナン。それでできたのがこのバナナナン」
町長がバナナを一本確かめて感心したように頷くのを、バナナンは満足そうに見届けました。
「しかし、バナナを作るにはバナナムーンの光が必要ナン。街のみんなに行きわたるくらいバナナを作ろうとしたノール兄妹は、光を使い切ってバナナムーンを消してしまったナン」
「何だと! それではもうバナナタウンに朝は来ないのか?」
「そういえば、光は戻ったけど薄暗いね」
セロトンは外を眺めました。
「大丈夫ナン。ポリフェはその失敗から学んで、バナナムーンに代わる装置を作ったナン」
「そんな装置、作ってな……いたた」
バナナンはポリフェのおしりに爪を立てて黙らせました。
「だから、これからはポリフェがバナナタウンの朝とバナナの管理人ナン」
「「えええ?!」」
みんな一斉に声を上げましたが、一番驚いているのは当のポリフェでした。
「まあ、私は住人たちと街の秩序が戻ってくるとはならそれでいいが……きみはどうするつもりかね」
「バナナキャットは引退ナン。めんどくさいことは人に任せて、ごろごろするのがバナナンのポリシーナン」
再び町長の机をバナナで山盛りにして、五人は街に戻りました。
バナナンはバナミンとポリフェを連れて、森へ向かいました。ポリフェは森の入口でためらっています。
「入りたくないんナン? 住人が外に出て魔力不足で消えないように、そういう魔法がかかってるナン。よっぽど入ろうと思えば入れるナン」
「……うーん……」
ポリフェは集中していますが、何かに阻まれて足が進みません。
「……この奥に、秘密の装置があるんだけどナン」
「え?! 装置?!」
ポリフェはするりと森の入口を抜けました。バナミンたちも続いて入っていきました。
バナナタワーを上ってバナナムーンと対面したポリフェは、目を輝かせて周りをぐるぐる回りました。
「これがバナナムーン……?! 僕の装置にそっくりだ!」
「だから、おまえの装置を改造すれば、魔法を使わなくても自動で街に魔力を補充するようにできるナン?」
「できると思う。いや、してみせるよ」
ポリフェはそっとバナナムーンに戻った淡い光に触れました。
「バナナタウンはこの魔力でできてたんだね。僕も、オイゲも、みんな……」
「ポリフェ……」
バナミンが心配そうにポリフェの顔を覗き込むと、その目はさっき以上にきらきらしていました。
「……なんて興味ぶかいんだ! さっそく研究しなくっちゃ!」
こうして、バナナムーンを研究しだしたポリフェをバナナタワーに残して、バナミンとバナナンは街に戻っていったのでした。
☆第十話話へ続く☆
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◆作者紹介◆
二月二二子
お話を書いて猫と戯れる日々です。
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