バナナン☆バナミン 第八話 | ガマンしない朝バナナダイエット。

バナナン☆バナミン 第八話

バナナン☆バナミン 第八話   ~ノール兄弟


バナナ

ノール兄妹の家はすぐにわかりました。窓という窓から黄色い光が漏れています。
勢いよく乗り込んだバナミンとバナナンが見たものは、バナナムーンによく似た装置と、それを操作する少年、そして、部屋にあふれたバナナを背に得意げな顔をしているオイゲでした。バナナバナナbanana*バナナの皮バナナ
「何しに来たの、バナナハンター」
オイゲはつんとあごをあげました。
「もう、バナナハンターなんていらないの。バナナハントしなくたって、お兄様の装置で、こーんなにバナナを作れるの! これからは、私がセロトンにいーっぱいバナナを届けるの!」
装置からは次々にバナナが飛び出して、床に積み重なっていきます。
オイゲの背後から、少年がおそるおそる声をかけました。
「オイゲ、もうそろそろいいんじゃないかな……?」
「だめよお兄様! もっともっとバナナを作るのビックリマーク バナナタウン全員分のムーンバナナジュースを作れるくらいにね!」


「ポリフェ、これは一体何ナン」
オイゲを無視してバナナンが聞くと、ポリフェはびくっと手を止めました。
「オイゲが、バナナがいっぱいほしいって言いだして……オイゲが持ってきたムーンバナナを調べたら、バナナムーンの光でできてるってわかったんだ。それで、バナナムーンの光を集める装置を作って、ムーンバナナを複製してたんだ……」
ポリフェはたどたどしく言うと、部屋を埋め尽くしそうなバナナを泣きそうな顔で見回しました。
「でも、僕の計算と違うんだ……バナナムーンは消えたのに、バナナが止まらないんだ……」
「……!」
バナナンははっとしました。
「まさか、バナナムーンどころか、街の魔力まで吸い取ってるナン?!」
「魔力……?」
ポリフェはきょとんとしています。


「とにかく装置を止めるナン! このままじゃ、街がバナナになっちまうナン!」
ポリフェがあわててスイッチにかけた手を、オイゲがむんずとつかみました。
「街がバナナに? 何言ってるの? お兄様、止めちゃだめよ。バナナを取られてくやしいものだから、邪魔しようとしてるのよ」
「じゃあ街を見てみるナン」
バナナンは窓の外を指しました。オイゲは目を細めて暗い街をよく見ると、きゃっと悲鳴を上げました。
「セロトンは?! 大丈夫なの?!」
「街も住人も、このままじゃバナナタウンが全部消えるナン」
「お兄様! 装置を止めて! 私、セロトンを見てくる!」
オイゲは叫んで飛びだしていきました。


残されたポリフェがスイッチを切ると、装置から生み出されていたバナナが止まりました。

「これでバナナタウンは戻るの?」
バナミンは、まだ光を放っている三日月装置を見て言いました。
「とりあえず、バナナに変えられることはなくなったナン。あとはこの、街から吸い取った魔力をどうするかナン」
「……あの、さっきから言ってる魔力ってどういうこと? 街も人も消えるって……」
ポリフェが真面目な顔で聞いてきました。
「バナナン、ポリフェには教えてもいいんじゃないかな? そしたら本当にバナナムーンが壊れたときに直してもらえるかも」
バナミンが言うと、バナナンはバナナムーンそっくりの装置を見上げました。
「それじゃ、おまえにはと・く・べ・つ・に! 見せてやるナン。オイゲには言うなよナン」
バナナンはそう言うと、二本足で立ち上がり、両前足を装置に向けました。


猫の肉球

バナナナ・バナナーン!」
装置は一瞬震えると、まとっていた光を四方八方に飛び散らせました。光はバナナの姿になって、部屋中に降ってきます。バナナキラキラバナナキラキラbanana*キラ☆バナナ
「今回は、バナナハントはするなよナン」
バナナンに言われて、バナミンは思わず伸ばしかけていた手を引っ込めました。
魔法の光でできたバナナは次々に舞い降りると、床を埋めているバナナに吸い込まれて消えていきます。


「大変! 大変! セロトンが消えちゃうビックリマーク
オイゲが駆けこんできたときには、バナナの雨は止んでいました。外もうっすらと明るくなっています。
「もう大丈夫みたいだね」
オイゲに手を引っ張られて連れてこられたセロトンは、自分の体を見下ろして言いました。
「さっきまで透けてたのにどうして?! でも、よかったあ……」
へなへなと崩れ落ちるオイゲに、バナナンは言いました。
「ポリフェが街に光を戻したナン。感謝して、二度とポリフェの装置をわがままに使おうなんて思うなナン」
「そうなの?! お兄様、ありがとう。ごめんなさい……」
「いや、いいんだよ、いつも、オイゲのわがままからアイデアが生まれるんだから……」
ポリフェは恥ずかしそうに小さな声で言いました。
「あ。町長の呼び出し小魚」
セロトンがドアの方を指差しました。泳いでくる光る魚の腹には『至急! 至急! 来られたし!』と文字が激しく点滅していました。魚
「……さあ、みんなで行こうかナン。バナナをたんまり持っていくのを忘れるナン」


こうしてバナミンたちはそれぞれめいっぱいバナナを抱えて、町長のところへ向かうのでした。




☆第九話へ続く☆


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◆作者紹介◆

二月二二子
お話を書いて猫と戯れる日々です。
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