バナナン☆バナミン 第六話 | ガマンしない朝バナナダイエット。

バナナン☆バナミン 第六話

バナナン☆バナミン 第六話   ~夜の真昼間




バナナ

 「とっとと起きるナン猫の肉球
 バナナンに肉球で顔を踏みつけられながら、バナミンは目覚めました。
「ううーん……おはよう」
「おはようじゃないナン」
 バナナンは前足で窓の外を指しました。空は暗く、街は闇に沈んでいますミミズク
「真っ暗。もう夜なの?」
「夜じゃないナン」
 バナナンはそう言って胸を張りました。どこから持ってきたのか、古びた懐中時計を首から下げています。
「え!? お昼?」
 バナミンはもう一度外を見ました。建物の灯りはまばらで人の姿はありません。そして、空は真っ暗で……
バナナムーンが、ない……
 バナナタウンの夜空に輝いているはずの、魔法の三日月がどこにもありません。
「バナナン、何かしたの?」
「してないナン! あいつと同じ発想はやめるナン」
 バナナンは、しっぽに食らいつこうとしている光る小魚をうるさげに叩き落としました魚
 バナナンが押さえつけた魚の腹には『至急来られたし!』と文字が点滅しています。
「町長の呼び出しナン」
 バナナンはうんざりと言いました。


 階段を降りていくと、カウンターの中で本を読んでいたセロトンが顔を上げました。
「おはよう。よく眠れた?」
「うん、ずいぶん寝ちゃったみたい。おはよう」
「バナナンはよく眠ってるところをこいつに突き起こされたナン」
 バナナンは復活した小魚にひげを引っ張っられながら、いらいらと言いました。
「え。じゃあこれ、バナナンがやったんじゃないの?」
 セロトンは暗い外を指しました。バナナンにじとりとにらまれて苦笑します。
「ごめんごめん。だって、バナナムーンの魔力を使えるのはバナナンだけなんでしょ」
「そのはずナン。なのにどうしてバナナムーンが消えたナン……」
 考え込むバナナンに、セロトンは言いました。
「まあとにかく行ってきたら? バナナンのひげがなくならないうちに」


 二人が役場に着くと、前より色つやが悪くなった町長が待ち構えていましたおさかな
 魚頭が痛むのか、えらのあたりを押さえています。
「きみは水の泡、という言葉を知っているかね」
 町長の抑えた口調に、おそるおそるバナナンは答えました。
「無駄骨ってこと……ナン?」
 町長は無言の後、魚眼をぎょぱっと剥きました。
「真夜中に朝になったかと思えば真昼間に夜が来る! バナナタウンのシンボル・バナナムーンは消え失せるビックリマーク 誤魔化して宥めすかしてようやく街に戻り始めた住人たちも一気にシェルターへ逆戻りだ! この私の努力の水の泡っぷり、もはやバナナで懐柔されるレベルではないぞ!?
「……落ち着くナン。信じ難いかもしれんが今回はバナナン何もしてないナン」
 バナナンがなだめると、町長はどさりと椅子にもたれました。まるきり信じていない顔をしています。
「私は町長だ。水の泡に終わろうが無駄骨だろうが、街の秩序回復のためには努力を惜しむわけにいかないのだよ。このままとぼけるなら私にも考えが……」
 町長が言い終わる前に、バナナンは何やらはっとしてしっぽをぴーんと震わせました。
「ま、まさか、まさかナン!」
「ななな何かね」
 尋ねる町長には構わず、バナナンは部屋を出て行きます。
「何なのかね?! 何だと言うのかね!」
 町長の叫びを後にして、バナナンは走って行ってしまいました。


「バナナン、待って! どうしたの?」
 森へ向かうバナナンの背中を、バナミンは息を切らしながら追いかけました。
「もしかしたら、バナナムーンが故障したのかもしれないナン!
「故障って……バナナムーンって『魔法の三日月』なんでしょ?」
「……そういうことになってるナン。バナナタウンの住人にはナン」
 バナナンは足を緩めると、何か思いだすような目つきをしました。
「魔法使いは自分の夢の街を魔法で作り上げたナン。その魔力はどこから来たのかわかるナン?」
「魔法使いの力じゃないの?」
「一つの街を作って維持するのには膨大な魔力を必要としたナン。魔法使いは魔法装置で世界から魔力を集めたのナン
 真っ暗な森に入ると、バナナンは尻尾に魔法の灯りを灯し、空を仰ぎました。バナミンが目を凝らすと、森から突き出るように建った塔の先端に、三日月型の装置が取り付けられているのが見えました。
「あれが、バナナムーン……?!」
「今でもバナナムーンは世界から魔力を集め続け、バナナタウンを維持してるナン。それが壊れたら……わかるナン?」
 バナミンは、光を失い、冷たい機械の色をした三日月を見上げました月のおじ
「壊れてるの?」
「わからないナン。バナナタワーに入るしかないナン」
 こうしてバナミンは、バナナムーンを頂く塔、バナナタワーに足を踏み入れるのでした。





☆第七話へ続く☆


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◆作者紹介◆

二月二二子(にがつににこ)
お話作りで食べていくのが夢☆ ゆるーく朝バナナ中。

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