バナナン☆バナミン 第五話
バナナン☆バナミン 第五話 ~朝の真夜中~
「バナナンにいいパートナーができて、僕もうれしいよ」
セロトンが言うのを聞いて、バナナンは、バナナジュースの皿から顔を上げました。
「パートナーじゃないナン。げ・ぼ・く・ナン。面倒なことはぜーんぶこいつにやらせて、バナナンはごろっごろするナン」
「今までだってごろごろしてたじゃないか。バナナだって、気が向いたときしか捕ってきてくれないし」
セロトンは苦笑しました。
「だから、バナナジュースはほとんどいつも品切れで、幻の名物なんて言われてるんだよ」
「こんなにおいしいのに、もったいない!」
きらきら光るジュースを飲みながら言うバナミンに、セロトンは笑いかけました。
「でしょ? だから、これからはバナミンのバナナハントに期待してるよ」
「うん! いっぱい捕ってくるよ」
「お代はしっかりいただくナン」
バナナンは口を挟みました。
「ああ、そうだね。今日の分も払うよ。いくらがいいかな」
バナミンは、カウンターに一本残ったバナナを見て、首を傾げました。
「えっと、バナナン、いくらくらいなの?」
「さあナン。バナナを欲しがってる連中のところに持ってけば、相当貰えるけどナン」
「今までは、おやつをあげたり泊めたりしてたんだ。うーん、どうしたものかな」
セロトンは首をひねりました。
「ま、とりあえず今日のところは泊めるナン。こいつ宿無しナン」
「だめよ」
むっすりと黙りこんでいたオイゲが立ち上がりました。
「と、泊めるですって? だめよだめだめ! 猫ならともかく、セロトンだって迷惑よ」
「僕は構わないよ。二階の部屋も余ってるし」
セロトンは、ぽん、と手を打つと、バナミンに向って言いました。
「何ならここに住む? 家賃はバナナで」
「そ、そんなのだめだったら! 何よ家賃がバナナって!」
オイゲは声を上げました。
「だってオイゲ、今日はバナナ入った? って毎日来てくれるくらい、バナナジュース好きじゃない。いつも品切れでわるいなって思ってたんだ」
「私は別に、バナナジュースが好きなわけじゃ……」
小さく呟くオイゲに、セロトンはにっこり笑いました。
「これからはバナミンがバナナを捕ってきてくれるから、いつ来てくれても大丈夫だよ」
「……私、帰る」
オイゲは立ち上がると、カウンターにお金を置きました。
「これ、ジュース代」
「そんなのいいよ。バナミンの歓迎祝いなんだから」
「……!」
オイゲはバナミンをきっとにらむと、止める間もなく出て行ってしまいました。
「オイゲ、どうしたんだろう」
セロトンは不思議そうに言いました。
「ともかく、今日はうちに泊まりなよ」
セロトンはカウンターを片付けると、奥の階段へ手招きしました。
「僕もう寝るから、先に部屋だけ案内しておくね」
「私も何だか眠いや」
「本当は夜だからね。じゃあもう寝ようか」
二階へ上ると、セロトンは余っていた部屋に布団を持ってきてくれました。
「バナミン、本当に、ずっとここに住んでもいいからね」
「ありがとう」
セロトンの申し出に、バナミンはにっこりしました。
「でも私、旅の途中なんだ」
「旅?」
「うん。私、世界の不思議を見て回るのが夢なの」
バナミンはそう言って苦笑しました。
「バナナ村を出発して、そういえば不思議っていうか、うさんくさい噂のある森が近くにあるのを思い出して、寄ってみたの。そしたら出口は見つからなくなるし、おなか減って動けなくなるし、念願の旅に出た直後に死ぬなんて絶対嫌! って思ってたら、バナナンが現れたんだ。いきなりすごい不思議を見ちゃったよ」
笑うバナミンを、バナナンはじっと見つめていました。
おやすみの挨拶を交わすと、セロトンはバナナンと出て行きました。
こうしてバナミンは、バナナタウンで初めての眠りについたのでした。
☆第六話へ続く☆
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◆作者紹介◆
二月二二子(にがつににこ)
お話作りで食べていくのが夢☆ ゆるーく朝バナナ中。
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