どうしたものか このごろは
笑う機会も 減ったかと
ふいに気付いて
悩んでみたり
単純な作業を 繰り返すうちに
いつしか心が ミミズのように
すっかり干上がって しまいそうに
心あやうく なるときは
私は心の 緑なす
楽園の旅に 出かけゆく
そこなる国は さまざまな
遠くや近くの 過去たちの
思い出ばかりで できた街
幼い頃の友だちや
懐かしい 場所の賑わい
どこかで垣間見たような 路地や
名前すら 知られぬ道路
夢の中で 通りがかったような
ひっそりとした街並み
いまの私よりも若い 両親が
幼い私と 日常のやり取りをしている
そんな姿を 私は
その傍から じっと眺めている
そうして過ごしているうちに いつか
心は すっかり明るくなって
この世界全体が 柔らかな
懐かしく 優しい光に
満ち充ちて
あつい思いと
澄みわたる心に
この胸は いっぱいに
膨れ上がっていく
こうしてひとたび 思い出の
不思議のいろに
染まって いくならば
何もかもが
心わきたつ 姿となって
みるみるうちに 光りだす
それならば
今日という日の 哀しみに
たとえ涙が あふれてきても
時が過ぎれば
ものみなすべて
思い出いろに 染まりゆく
とどのつまりを いうなれば
今日のひとひの 哀しみさえも
みんな すべてが
思い出のたね
いつかまた
疲れ果てたり
心が風邪を引いたなら
また 出かけよう
思い出番地の 街かどへ