新化への歩み(2)~2月10日付茨城新聞より | Field of Dreams

新化への歩み(2)~2月10日付茨城新聞より

【DF 伊野波雅彦】~速さと強さ求めて


1月下旬、伊野波雅彦は都内のトレーニング施設で黙々と汗を流した。昨年、プロ選手やスポーツチームの体作りをサポートするウイダー社とパートナー契約を結び、港区にある同社の「トレーニングラボ」で1日4時間、練習に取り組んだ。通常ならチーム始動に合わせて体を軽く動かす期間だが、「もっとパワーアップしたいから」と、筋力強化に当てた。

 伊野波は昨季のリーグ最少失点の守備陣を支えた。2006年にFC東京でプロデビューし、08年に鹿島へ移籍。主力として1年間戦ったのは昨季が初めてで、「夏ごろは感じたことのない疲労がたまり、試合でも全然体が動かない時期があった」と明かす。午後10時には体を休め、栄養士のアドバイスも受けるなど細心の注意を払い、秋以降はキレが復活。1年で大きな成長を遂げた。

 しかし本人は冷静に受け止めている。「(去年)力を出せたのは7割くらい。残り3割は出し切れなかったと思う」。そう思うとオフ期間も休んでいられなかった。筋力強化のテーマは「スピードを落とさず体の厚みを増す」ことだ。

 センターバックとしては小柄な方だ。それだけに持ち味のスピードに加え、より一層の強さを求めた。トレーニングの効果は確実に表れ、首、胸、腕が太さを増し、体重も約2㌔増えた。「(スピードに)乗っている感じ」と手応えを話す。チーム始動後の体力測定では軒並みトップの成績で、宮崎合宿でも際立つ動きを見せている。

 今季は同じセンターバックに韓国代表の李正秀が加入。間違いなくポジションを争そうであろう存在について、「僕と岩政さんだけでは1年間戦えない。(大岩)剛さんも含めて4人で力を合わせたい」と語る。だが向上心を包み隠さない姿を見れば、レギュラー死守への強い自覚がうかがえる。伊野波が言う「残り3割」とは果たしてどんな力か。2010年のピッチに答えがある。179㌢、73㌔。宮崎県出身。

(松本隆吾)