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私は、定がどういう人間なのかを見るために一週間を使った。一週間後、私は定にほぼ一ヶ月、5週分のスケジュールを与えた。定は私の目から見ていると、非常にうるさい男だった。やたら話をする、歩くとき足音がする、空腹になるとおなかがなる、呼吸音も大きい(これは崇には聞こえないそうだが)。
定は正統派のコマンド向きだと思った。だから、私が何か手を入れる必要はない。今まで警察で習ってきた体術でいけるだろう。警棒使いはいけるからナイフ使いもそれの応用でできるだろう。ただ、定は機動隊の経験があるだけで、戦闘の実践や突入の訓練は足りないようだった。
「それでも機動隊出だけあってやっぱり素人よりはいいな。単独の侵入方法を訓練すれば、あとは普通のグループでのやり方なんかはかんたんな修正でいけそうだ。あとは長距離の射撃かな」
私は、やっぱり不満があったが、それでもさすがに警察出の真面目さで定の癖は修正されていった。
一ヶ月の基礎訓練が終わって、定にも一度実践をして見せてもいいかと思うようになった。
「私はいきなり本番だったしねえ」
「いや、光にやらせるつもりじゃなかったんだよ?」
崇は苦笑した。
ちょうど私が密輸業者の仲間割れのために日本に来ている日系南米人を一人殺すことになっていた。注文は、できれば繁華街で、見せしめのために血を流す方法で殺してほしいということだ。何かの話でヨーロッパのどこか古い死刑の話で血を流す方法をとることは侮辱の意味があるというのを聞いたことがあるが、そういう注文なのかもしれない。銃で撃つべきか、ナイフで殺すべきかと考えた。が、相手が結構太った大男で、ナイフで殺すのは面倒そうだ。ちょっと大き目の銃で三点撃ちをして両肩をつぶして、頭の中央の代わりにのど元を撃とう。そうすれば顔は残って血は出るし確実に息が詰まるから見せしめになるだろう。
今回は依頼者側と組織の全面バックアップがあるからビルから出てきたところを10mの距離から一人だけを狙ってやれることになっていた。だから、あまり難しい仕事ではないし、崇もついてこないことになった。ただ、一応現場から徒歩3分ほどの場所に運転手の乗った車を用意して、徒歩で逃げられなさそうだったらその車で逃げられるように手配してあった。