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その頃の私は、組織で一番の壊し屋だった。いつもいらいらして、自分を制御するのが大変だった。日常生活では一応のコンロトールができる。訓練をしているから、思いっきり何かを投げたり打ったり、撃ったりすることがストレス発散になっていたのだろう。しかし、仕事になると、だめだった。抑制がきかない。今でも、思い出すと、血の海が頭の中を支配する。この頃が、私が殺した人数が一番多い時期だ。
その頃、私は乱暴な仕事を好んでいた。崇と一緒に仕事に出ることもあったが、一人で出かけることもあり、そういう時は、だれも止めないから、殺しすぎたり半死半生になるものが必要な程度よりも多かった。
たとえば、私が14歳の誕生日を迎えた日のことだ。私は、ある一地方に勢力を張っていた不良警官をぶちのめす仕事に行った。依頼者は警察だった。県警レベルか警察庁か、それとも政治がらみだったかまでは知らない。その警官は暴力団から上納金まで集め、今では懐かしいテレクラを利用していた売春婦から搾取をしているという話だった。だから、暴力団たちに恨まれていたし警察組織に憎まれていたけれど、どっちも手が出せなくて、思い余って私たちの組織に依頼が来たのだ。
依頼は、その不良警官の立場をなくしてやり警察からたたき出すこと。普通ならその警官は警察から出てしまえば即座に暴力団にたたき殺されるだろうが、そうなってもやむをえないという感じだった。ただ、本当に打ち殺されると問題だから、暴力団ももう殺す必要がないくらいに面目をつぶし、警察から「もうほうっておけよ」と報復を受けない可能性を作ってやろうということだった。当時は一応そういった性的な商売に対し潔癖だった私は、その男を心底軽蔑し、憎悪した。その男に配慮などしてやる警察についても、安くはない依頼料なのにえらいですね、と思った。
私が選ばれたのは、多分そういったマッチョの世界の住人なら、カモであるべき小娘に公然とぶちのめされれば全く面目を失い、それどころか存在の意味すら失うだろうということだったのだろう。一番簡単な方法だ。
どうしたら一番効果的に見せられるだろう、どういうシチュエーションが一番女の子が近づきやすいだろうということを考えてみた。結果、一番情報をいきわたらせたいのは暴力団や搾取されている女性たち、ということで、場所は繁華街、時間は人出の多い時間ということでちょうど酔客の一軒目の終わる10時ごろにした。なんでもその町の真ん中に展望台になっているタワーがあって、そこを中心に北がスナックやバー、南が風俗店になっているから、タワーの前の広場でやれば一気に話が回るだろうということだった。おまけに、そのタワーの展望台入り口に警察が監視カメラをつけているので、丁度いい、その前でやりましょう、となった。