色々なタイミングが重なり、見れないと思っていた映画を見ることが出来た それは青く鈍いが少しずつ進歩するような物語だと観る前は認識していた 案の定、20代の私には色々と響いた
「かくかくしかじか」という映画で、原作者の東村アキコ氏の実体験を軸に話が作られている
週一くらいで本屋さんに通っている為、原作マンガがあることも知っていたが、中々買える状況ではなかったし、逃げ回っていた"現実"とやらが、今の私を完全に掴んでいるイメージで、見たいが見たくない気がしていた印象もある だが見れることになったのだ
それが決まったのは、その日の前日でしかも作者本人が登壇し、挨拶するということもあった(宮崎の地で)
これは何かの因果、思し召しか、何かのタイミングなのか とにかく「行ってみるべし」と感じて自転車を走らせたのだ
向かう途中で苛々する程の暑さと、映画館で初めて見る長い列、初めて自分の選んだ席の両隣に人が座っていて、周りも席が埋まっていたこと 人々の醸し出すエネルギーみたいなものが渦巻いていた 映画の予告や主題歌に合わせた映像がネットにあり、それを見て(情けないけど)大きく強めの声で言われるのが苦手なのだと感じた私は、大泉洋のキャラクターを警戒して、映画が始まった
凄く映像が美しい 宮崎という場所を効果的且つ鮮やかに映していた そして、どこかキリっと爽やかさがあった なにか均衡が保たれているようにも見えた 恐れ入ったアキコ女史、そして関監督(perfumeや星野源、サカナクション、様々なミュージシャンのミュージックビデオを撮られているそう 映画も撮られている)
そして沢山のスタッフと俳優の方々 圧巻だった 言葉が浮かばず、さらさらと流れる画面から目を離したくなかった
大泉洋のキャラクターが、劇中の起爆剤でいつも熱を帯びていた 激しく情熱的 学生だった頃に映画のそのキャラクター程じゃないが、パワフルな先生や大人が居たなとも思いだした(実際は同じ映画を見た友人にそう言われて頷いた)
日本語という言語の難しさ、言葉同士が弾き合い(おもちゃのおはじきのように 手で弾くと鈍くて重い感じで思い通りにならない) 言葉だけが伝わって、言葉の意味や核の部分が伝わらない
言葉が口から出てこない瞬間もあれば、どうも押し黙ってしまう時もあって、素直になれず、溜め込んで爆発したり、泣きじゃくったり 自分の人生に照らし合わせて見てしまい苦しかった
人間を人間たらしめる複雑なところや、経験を積み、時間が経たないと納得や理解まで届かない過去に投げかけられた言葉、人生で待ち受ける現実という壁、自分の弱点が見えることによって取り乱すこと、プライドがへし折られないと見えてこないこと
作者があの指導を受けて、めげずに沢山の人が知っている人になったこと パワーをもらったし、現実と戦わねばと考えた
原作マンガも買いたいし、小説にもなっているのでそれにも手を伸ばそうと感じた
MISAMOの「メッセージ」という曲と共に、ほろりと流れた涙は心地よかった そして、赤裸々に過去を晒して前に向かう主人公に励まされた日だった
