【貴乃花】(令和8年)
子供の頃の話だ。
貴乃花が好きだった。
テレビの貴乃花を見ながら祖母が言った
『この人は偉いわ。怪我しても他人に言わん。』
『え?怪我してるのに休まないの?で、優勝したの?』
単に好きな貴乃花が、憧れや尊敬に変わった瞬間だった。
時は30年ほど経て
音楽や色んな現場で
『杉本さんって体調悪くなって仕事休む事あります?』
と後輩や上司に言われる僕がいる。
ここ5、6年は体調不良を理由に仕事に穴を開けた事はない。
『気を、張っていますからね。』
とだけ答える。
僕は僕の身体に対して“大事をとる”という考え方がない。
何故なら
“今”は、“今”しかないからだ。
気を張って
その音楽や仕事に臨めるなら、僕にとっては簡単な事だ。
右手は腱鞘炎
腰椎椎間板ヘルニア
頸椎椎間板ヘルニア
痛みはずっとある。
でも、気持ちで忘れられる。
貴乃花の気持ちになる。
変えられないものなら仕方ないけど
変えられるから。
褒めてほしい、とも思わないし。
そして、そうやって
お父さん
お母さん
お爺ちゃん
お婆ちゃん
ご先祖様は
僕を守ってくれたから。
時代が、
政治が、
世界が、
どうであれ
お陰で僕は生きてこれた。
だから次は僕は後輩達にそれをして、還していると思っている。
先輩や上司からアドバイスや苦言を貰った時に
馬鹿にした感じで
“詰められた〜”
とか
“怒られた〜”
としか
表現できない人からしたら
僕のこの精神は“老害”なのだろう。
それでもいい。
分かんなくていい。
それでも、
その人達も含めて
次の世代に還していきたい。
HLN
