初めてキノの旅を読んだのはいつだったろう。
もうずっと昔、だけど、小学生の頃ではなかったのは確か。
私が文庫本を自ら買うことは考えにくいので、きっと友達に借りたのが始めだと思う。
そうだ。中1の時転校してきた男の子に貸してもらったんだった。
彼は地元の高校の教頭先生の息子で、札幌からお父さんの転勤と同時にあの田舎町に移り住んできたんだ。
2歳の頃からそれまでずっと、同じ友達、大人達に囲まれて育った私はドキドキした。
転校生ってゆうのは、いつの時代もどこでも物珍しいもので、それは田舎に行けば行くほど希少だった。
彼は、不思議だった。
とにかく大人しくて、細くて、白くて、いつでも絶え間なくぼーっとしていた。
信じられないほど、マイペースだった。
今思うと彼の行動は、田舎の小さな学校だったからこそ認められていたんだと思う。普通の街の学校にいたらあっとゆう間に変人扱いされていただろう。
彼はコンピュータにやたらと詳しくて、テレビゲームが他のどの男子より上手だった。
テレビゲームに限らず、ゲームとゆうゲーム全てにおいて群を抜いていた。
一人っ子でご両親が共働きだったことが手伝ってか、彼は1人遊びのプロだった。若干13歳で。
初めこそ周りの田舎モン達と少し距離をおいていたものの、そこはやっぱり子供ならでは。2.3日もするとすぐに打ち解ける。
クラスで唯一の女子だった私も類に漏れず。
その頃私は男の子との距離感を正しく認識できてなかったのかもしれない。
今でこそ中学生にもなれば、ただの友達ではなく異性として男子を意識するのが当たり前だと理解できるが、その当時、私にとって男子は兄弟みたいなものでしかなかった。
少しの意識もすることなく、みんなが大好きで、ずっとずっと一緒にいたいとゆう気持ちだけで彼らと接していた。
結局その感覚は高校を卒業して、専門学校に入るまで変わらなかったのだけど。
転校生の彼は、いつも良い匂いがした。
香水とかではなくて、赤ちゃんみたいな甘い匂いがした。
なにも付けてないと言っていたので、選択洗剤の匂いだったのだろうけどそれがたまらなく好きだった。
休み時間、昼休み、放課後、とにかく隙を見ては彼の後ろから飛びついていた。まったく、今考えると年頃の男子が同い年の女子に抱きつかれてどんな気持ちだったんだろうか。申し訳ない。笑
背が高い彼は、背の高い私にぴったりだった。
ちょうどいい高さに頭があって、首があって、すごく良い匂いがする。大好きだった。
それは恋愛感情ではなかったと思う。
彼はどうだったんだろう。
べったりくっつかれて、嫌な顔一つしなかった。かと言って喜ぶわけでもなかった。
男子の中には私がくっつくと「あ!おっぱい当たった!ラッキー」とか言う健全な奴もいたのに。
彼は私のことなど微塵も気にしてない様子で、私が背中にひっついていてもそのまま机に突っ伏して休み時間の間ずっと寝ていた。
彼からは色んなことを教えてもらった。
初めて借りたCD。
BUMPのアルバム。
彼はBUMPが大好きで、私にも聞くようにオススメしてくた。
すぐにその音楽にハマった。
何枚も何枚もCDを借りては、アルバムの中のお気に入りを見つけた。
これが、私と彼の初めての共通点。
その後も、面白いインターネットのホームページとか、笑えるブログを教えてもらっては、ハマった。
私以外にも、彼に影響されて趣味嗜好が変わるクラスメイトはいたけど、中でも1番私が彼と趣味があったようだった。
ある日、彼が面白いから読んでみろと本を一冊貸してくれた。
それが、キノの旅。
もともと読書は人一倍好きだったので、すごく読みやすいその本は借りたその日のうちに読み終えてしまった。
独特の世界観。
張り巡らされた伏線。
強いメッセージ性。
かなり好きなタイプの本で、すぐに続きを持って来てもらった。
私が大絶賛だったので、オススメした彼本人も嬉しかったのだろう。
どの話が1番好きだったか、その話のどのへんが好きか、どんなことが伏線として張られているのか、キノの旅についてたくさん語った。
そのうちに私も自分で買うようになった。
新巻が出るとどちらかが買って、先に買った方がもう一方に貸した。そして感想を語った。
すごく楽しかった。
読んでいる内容はとても残酷だったり、悲しかったりするものばかりなのに、楽しかった。
2年生になると同時に彼は札幌に帰ってしまった。
お父さんがまた別の学校に転勤になったからだ。
それから私の元には、巻数が不揃いのキノの旅が数冊だけ残った。
彼に借りて読んだことのある巻も、少しづつ買い揃えた。
キノの旅は相変わらず面白かったけど、読む度彼を思い出していた。
もう、あれから10年近く経って、最近では忙しさを理由に小説を読むことも少なくなっていた。
でも、つい最近時間を潰さなければいけない状況があって、そのために本屋さんに立ち寄った。
久しぶりに見つけた キノの旅。
当時最新巻として、持っていたものはとっくに昔の巻になっていた。
時が経つのは早い。
まだ読んだことのない新巻を一冊だけ買ってみた。
久しぶりに読んだキノの旅は、相変わらず私の好みの文章。
それも一日足らずで読み切り、もっと読みたくなった。
今日また、本屋さんに立ち寄って新しいのを買ってきた。
ずっと忘れていた転校生の彼は、
今、どうしているのかな。
キノの旅、最新巻を読んだかな。
次会うのことがあれば、また聞いてみよう。
きっと次は、抱きつけないから、大人同士の距離感を保たなくちゃいけないんだろうな。
iPhoneからの投稿
もうずっと昔、だけど、小学生の頃ではなかったのは確か。
私が文庫本を自ら買うことは考えにくいので、きっと友達に借りたのが始めだと思う。
そうだ。中1の時転校してきた男の子に貸してもらったんだった。
彼は地元の高校の教頭先生の息子で、札幌からお父さんの転勤と同時にあの田舎町に移り住んできたんだ。
2歳の頃からそれまでずっと、同じ友達、大人達に囲まれて育った私はドキドキした。
転校生ってゆうのは、いつの時代もどこでも物珍しいもので、それは田舎に行けば行くほど希少だった。
彼は、不思議だった。
とにかく大人しくて、細くて、白くて、いつでも絶え間なくぼーっとしていた。
信じられないほど、マイペースだった。
今思うと彼の行動は、田舎の小さな学校だったからこそ認められていたんだと思う。普通の街の学校にいたらあっとゆう間に変人扱いされていただろう。
彼はコンピュータにやたらと詳しくて、テレビゲームが他のどの男子より上手だった。
テレビゲームに限らず、ゲームとゆうゲーム全てにおいて群を抜いていた。
一人っ子でご両親が共働きだったことが手伝ってか、彼は1人遊びのプロだった。若干13歳で。
初めこそ周りの田舎モン達と少し距離をおいていたものの、そこはやっぱり子供ならでは。2.3日もするとすぐに打ち解ける。
クラスで唯一の女子だった私も類に漏れず。
その頃私は男の子との距離感を正しく認識できてなかったのかもしれない。
今でこそ中学生にもなれば、ただの友達ではなく異性として男子を意識するのが当たり前だと理解できるが、その当時、私にとって男子は兄弟みたいなものでしかなかった。
少しの意識もすることなく、みんなが大好きで、ずっとずっと一緒にいたいとゆう気持ちだけで彼らと接していた。
結局その感覚は高校を卒業して、専門学校に入るまで変わらなかったのだけど。
転校生の彼は、いつも良い匂いがした。
香水とかではなくて、赤ちゃんみたいな甘い匂いがした。
なにも付けてないと言っていたので、選択洗剤の匂いだったのだろうけどそれがたまらなく好きだった。
休み時間、昼休み、放課後、とにかく隙を見ては彼の後ろから飛びついていた。まったく、今考えると年頃の男子が同い年の女子に抱きつかれてどんな気持ちだったんだろうか。申し訳ない。笑
背が高い彼は、背の高い私にぴったりだった。
ちょうどいい高さに頭があって、首があって、すごく良い匂いがする。大好きだった。
それは恋愛感情ではなかったと思う。
彼はどうだったんだろう。
べったりくっつかれて、嫌な顔一つしなかった。かと言って喜ぶわけでもなかった。
男子の中には私がくっつくと「あ!おっぱい当たった!ラッキー」とか言う健全な奴もいたのに。
彼は私のことなど微塵も気にしてない様子で、私が背中にひっついていてもそのまま机に突っ伏して休み時間の間ずっと寝ていた。
彼からは色んなことを教えてもらった。
初めて借りたCD。
BUMPのアルバム。
彼はBUMPが大好きで、私にも聞くようにオススメしてくた。
すぐにその音楽にハマった。
何枚も何枚もCDを借りては、アルバムの中のお気に入りを見つけた。
これが、私と彼の初めての共通点。
その後も、面白いインターネットのホームページとか、笑えるブログを教えてもらっては、ハマった。
私以外にも、彼に影響されて趣味嗜好が変わるクラスメイトはいたけど、中でも1番私が彼と趣味があったようだった。
ある日、彼が面白いから読んでみろと本を一冊貸してくれた。
それが、キノの旅。
もともと読書は人一倍好きだったので、すごく読みやすいその本は借りたその日のうちに読み終えてしまった。
独特の世界観。
張り巡らされた伏線。
強いメッセージ性。
かなり好きなタイプの本で、すぐに続きを持って来てもらった。
私が大絶賛だったので、オススメした彼本人も嬉しかったのだろう。
どの話が1番好きだったか、その話のどのへんが好きか、どんなことが伏線として張られているのか、キノの旅についてたくさん語った。
そのうちに私も自分で買うようになった。
新巻が出るとどちらかが買って、先に買った方がもう一方に貸した。そして感想を語った。
すごく楽しかった。
読んでいる内容はとても残酷だったり、悲しかったりするものばかりなのに、楽しかった。
2年生になると同時に彼は札幌に帰ってしまった。
お父さんがまた別の学校に転勤になったからだ。
それから私の元には、巻数が不揃いのキノの旅が数冊だけ残った。
彼に借りて読んだことのある巻も、少しづつ買い揃えた。
キノの旅は相変わらず面白かったけど、読む度彼を思い出していた。
もう、あれから10年近く経って、最近では忙しさを理由に小説を読むことも少なくなっていた。
でも、つい最近時間を潰さなければいけない状況があって、そのために本屋さんに立ち寄った。
久しぶりに見つけた キノの旅。
当時最新巻として、持っていたものはとっくに昔の巻になっていた。
時が経つのは早い。
まだ読んだことのない新巻を一冊だけ買ってみた。
久しぶりに読んだキノの旅は、相変わらず私の好みの文章。
それも一日足らずで読み切り、もっと読みたくなった。
今日また、本屋さんに立ち寄って新しいのを買ってきた。
ずっと忘れていた転校生の彼は、
今、どうしているのかな。
キノの旅、最新巻を読んだかな。
次会うのことがあれば、また聞いてみよう。
きっと次は、抱きつけないから、大人同士の距離感を保たなくちゃいけないんだろうな。
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